トリプトファンとは?その作用や期待できる効果

幸せホルモンセロトニンとは

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンとともにストレスに関係するホルモンとして知られています。ノルアドレナリンは、緊張したり、集中したときなどストレスがかかった場面で分泌され、交感神経のはたらきをを亢進させる作用があります。血圧や心拍数を上げ、発汗したりと身体を活動に適した状態にさせます。

一方でドーパミンは、やる気や幸福感を引き出すホルモンです。一見すると、良いことばかりのようですが実はドーパミンが過剰に放出されると、ギャンブル依存などになってしまうことがあります。反対に、不足すると無気力のような状態になり無関心になったり意欲が起きなくなってしまいます。

そこで、ノルアドレナリンとドーパミンの過剰な分泌や不足を防ぎ、バランスをとっているのがセロトニンなのです。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、ドーパミンやノルアドレナリンの分泌が亢進したときにはこの2つのホルモンを抑制して、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整えます。

緊張やストレスを感じたときに温泉に入ったり、音楽を聴いたりすると癒された気分になるのはセロトニンの働きによるもので、ノルアドレナリンの分泌が抑制されるためです。

セロトニンを増やす生活習慣

セロトニンは寝ている時にはほとんど作られないという特徴があります。そのため、朝起きたときに日光を浴びることや、きつくない程度の心地よい負荷の運動を行うようにしましょう。

運動の内容としては、単調で同じリズムでできる運動が良いといわれています。ランニングやウォーキングなどがおすすめです。

近年では涙を流すことでセロトニンが分泌されることも報告されています。映画を見たり本を読んだりすることで、涙を流すとすっきりするのはセロトニンのおかげだったのですね。

また、朝の週間としては朝食をとることも大切です。セロトニンは人間の身体の中で合成できないため、トリプトファンという物質を取り込むことでつくられます。

トリプトファンとは

トリプトファンは必須アミノ酸のひとつで食事からとる必要があります。なぜなら、トリプトファンは人間の身体の中で作ることができない物質だからです。

食べ物から摂取したトリプトファンはたんぱく質として体内で使われ、その他は肝臓や腎臓で分解されます。また、トリプトファンは脳内に運ばれると、日中はセロトニン、夜間はメラトニンに変化します。

メラトニンは睡眠ホルモンともいわれ、体内時計に働きかけ、覚醒・活動と睡眠を切り替えて眠りにつきやすいよう作用しています。つまりは、睡眠サイクルを正常化する働きがあるのです。そのため、トリプトファンの不足は睡眠の質の低下や不眠症につながるのです。

また、トリプトファンは糖質・脂質・たんぱく質を代謝・分解するなかで必要なナイアシン(ビタミン)の合成を行います。こういった理由で、ダイエットには睡眠が重要ということも言われているのですね。

トリプトファンが多く含まれる食べ物

人間の身体ではつくることができないトリプトファンは食事からとる必要があり、特に植物性のたんぱく質から摂ることをおすすめします。

主な植物性のたんぱく質としては、納豆・味噌・しょうゆ・豆腐などの大豆製品、米などの穀類、ごま、ピーナッツ、バナナなどがあります。

動物性のたんぱく質としては牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品や、肉や魚がありますが、こういった動物性のたんぱく質に含まれているBCAAというアミノ酸がトリプトファンを脳へ送りにくくしてしまうという特徴があります。

しかし、動物性たんぱく質も摂り方を工夫すれば効率的にトリプトファンを摂取し、脳内へ運ぶことができます。その方法は穀類、いも類、果物などの炭水化物や、鮭やさば、鶏胸肉などビタミンB6を多く含む食材と一緒にとることです。こうすることで脳内でのトリプトファンの合成が促進されます。

トリプトファンを摂るときに注意しておきたい点

トリプトファンは食事からとれるものなので、安全性が高いとはいえ過剰摂取には注意が必要です。

過剰摂取をすると分解に使われる肝臓への負担になります。栄養バランスに偏りがなく、バランスのよい食事と適度な運動を行うことでセロトニンの分泌は促されます。

最近、気分がのらないな、なかなか眠れないなどの不調を感じたときにはぜひ見直してみてくださいね。